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「オーラルフレイル」を知っていますか?

「フレイル」とは、加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下した「虚弱」な状態を指し、健康な状態と日常生活で介護が必要な状態の中間の状態をいいます。



「オーラルフレイル」とは、オーラル(=口腔)とフレイル(=虚弱)を合わせた言葉で、直訳すると「口の機能の虚弱」となります。

食べこぼしや食事中の「むせ」といったささいなお口の衰えをきっかけにお口の機能が低下し、食べる機能の障害へと進み、栄養状態が悪化すると、体力や筋力の低下を招き、全身のフレイル・衰えにつながります。

新型コロナウィルスの感染拡大が、噛む、話すといった口腔機能にも悪影響を与えていると言われています。コロナ禍で外出が減り、人との接触がなくなり、食生活も乱れると、足腰だけでなく体幹部分の筋肉量もかなり減ってしまいます。

<オーラルフレイルのセルフチェック表>





出典:東京大学高齢社会総合研究機構より

フレイルのもう1つの特徴は「可逆性」です。何もしなければ、要介護へと「老いの坂道」を転がり落ちますが、頑張れば健康な状態に戻る可能性がある時期です。生活を少し見直すだけで、将来は変わってきます。

人生100年時代と言われ、お口の健康を起点とした全身の健康と豊かな人生が注目をあびています。毎日習慣として行う歯みがきなどのオーラルケアは、お口の健康を守るだけではなく、全身の健康を守ることにもつながっています。

神奈川県のホームページに「グー・パー・ぐるぐる・ごっくん・ベー」体操というオーラルフレイル改善プログラムが掲載されていました。



1.グー

目はしっかり閉じ、目玉は下方に。口は口角をあげしっかり閉じる

2.パー

目は大きく開き、目玉は上方に。口を大きく開く

3.ぐるぐる

口を閉じたまま舌に力を入れ、口唇の内側をなめるように回す(右回り、左回り)

4.ごっくん

ココでたまった唾をごっくん

5.ベー

舌の先に力を入れ、しっかりと前に出す(そのまま10秒キープ)

このトレーニングを4週間行ってもらったところ、滑舌や嚥下機能など56%に改善が認められたそうです。

1~5を3回以上、毎日繰り返し続けることで、

オーラルフレイルを予防!   ④舌の力で飲みこむ力も向上

脳の血流upで頭すっきり    ⑤フェイスラインもスッキリ!

唾液分泌upでお口もうるおう

オーラルケアは人生を豊かにする大切な健康習慣です。オーラルフレイルは口のわずかな症状なので、自分ではなかなか気づかないです。歯の本数だけでなく、機能の維持・改善も重要です。

お口の変化に気づくためにも歯科で定期的な検診を受けることをおすすめします。

 

 


舌の正しい置き場所、ご存じですか?

今、皆様の舌の先はどこにありますか?

上下の前歯の間ですか?

どこにも触れていませんか?

下の前歯の内側ですか?

日々の生活の中で舌の先がどこにあるかと意識することはないのではないでしょうか?

舌の正しい位置は、スポットに舌の先が触れていて舌全体が上あごにぴったりとくっついた状態です。(歯には接触させません)



舌がスポットに触れていないと舌が下に下がった状態になります。下のイラストは舌が下がっている状態の口腔内です。



舌なんてどこに置いても同じじゃない?と思われるかもしれません。

舌が下がると気道が狭くなり、イビキをかきやすくなります。また、鼻へつながる経路も舌で閉ざされてしまい呼吸を楽にするために口呼吸をする方が多いです。口呼吸は、空気中の細菌やウイルスを直接体内により多く吸い込むことになったり、ノドの奥が乾燥して傷つきやすくなり風邪などをひきやすくなります。また、お口の乾燥により虫歯や歯周病、口臭の原因になります。顔貌も、お口のまわりの筋肉を使わないことにより、ポカンとした印象になります。

 

歯は、唇、頬、舌といった筋肉に囲まれ、それらの筋肉の圧力のバランスのとれた位置で安定するので正しい舌の位置を知っておくことはとても大切です。歯はわずか1.7gの力(ペットボトルのキャップ1つくらいの重さ)でも長く力がかかると動くと言われています。舌の力は500g、頬・唇の力は300gくらいあります。このように舌の力は強くて普段の舌の位置や使い方が歯並びに影響を与えてしまいます

人の顔は生まれてから小学生ぐらいまでの間につくられると言われています。

幼児期の舌の位置は、その後の顎の発育に大きく影響します。上顎の成長のピーク前(5歳くらいまで)に平常時に舌が正しい位置にあると、上顎は舌に押されて大きく発達します。舌が下に下がってしまっている状態だと、上顎の成長は小さくなります。鼻呼吸を行い、正しい舌の位置を保つことによって顎はしっかりと横や前に成長し、歯がきれいに並びます。

5歳の時点で舌を正しい位置に置くことができていないお子さんは、舌のトレーニングによって舌の位置を改善することができれば、顎の成長が促され歯並びが良くなります。(ただし上顎の成長の観点から8歳前後までの時期がリミットと考えています)

舌の正しい置き場所、お口の状態は

1.上下の唇は軽く閉じる

2.舌の先は前歯の後ろの歯茎に当たっている(歯には接触していない)

3.歯は噛み合わせない

4.舌全体を上顎に吸盤のように張り付ける

この4つをしっかり守り、鼻でしっかりと呼吸するようにしましょう。

お子さんの歯並びに不安がある方、口呼吸を改善されたい方は、ご相談ください。

 


マイクロスコープってどんな機械なの?

「マイクロスコープ」ってお聞きになられたことはありますか?

「マイクロスコープ」は、歯科用顕微鏡のことです。歯科治療は細かい作業の連続です。マイクロスコープを使うことで、狭く暗い口の中を明るく拡大することができ、「見えないものが見えるようになる」ことが可能となります。

この度いなだ歯科が導入したマイクロスコープは、肉眼の最大80倍まで拡大することができます。

ところで、マイクロスコープを使用することでどんなメリットがあるのでしょうか?

肉眼では確認しづらいむし歯の発見や歯の亀裂・破折など、お口の中でおこっている問題に対して早期発見・早期治療を行うことができる

例えば、冷たいものがしみたり、痛みを感じたりする場合、虫歯を疑う人が多いのではないでしょうか?実は、歯に亀裂・破折が入っている場合も同じような症状がみられます。歯の亀裂・破折は肉眼ではなかなか確認することができません。むし歯治療をしたけど症状が改善しない・・・それは歯の亀裂・破折が原因している可能性があります。マイクロスコ―プを使用すれば、小さな初期の亀裂・破折も発見しやすいので、適切な判断、治療が可能になります。

<肉眼治療とマイクロスコープ治療の違い>



根っこの治療で神経の管の入り口の位置や数をしっかり把握することができる 

歯の根っこはとても複雑で細かい形態をしています。肉眼で確認しづらい部分を正確に把握することができることで精密な治療を行うことができます。

必要以上に健康な歯質を削ることを防げる

むし歯治療の際、削りすぎると健康な歯の部分にもダメージを与えてしまいます。「見える」ことでむし歯の取り残しをなくし、必要最小限の部分だけを削り取ることができ、歯の健康な部分を可能な限り残すことができます。

歯の色調、形態を正確に把握することができるので、審美性の高い治療を行うことができる

細かな歯の形態や色の変化の特徴を把握することでより自然な形で歯の修復を行うことができます。

精度の高い治療を行うことで、治療後も長期間、安定した状態を保つことが期待でき

治療している部分の拡大画像をモニターでお見せすることができるので、ご自身のお口の状態をより詳しくご理解いただくことができ、治療内容をより正確に把握していただくことができる

歯科医院での普及率は3〜5%とまだまだ一般的ではないマイクロスコープ。いなだ歯科ではこれまで肉眼よりはっきりと見える3.5~4.5倍のルーペを装着して治療していました。これからはより拡大した視野で治療を行うことが可能となりました。

詰め物や被せ物を綺麗に入れたい、治療を受けたけれどもいつまでも症状が良くならない、過去に治療した歯がまた痛みだしてきたとお悩みの患者様は、お気軽にご相談ください。


それぞれの歯が持つ大事な役割について

歯の役割と聞いて思いつくことはなんですか?

「食べ物を細かく噛み砕いて消化しやすくする」

「発音を助ける」

「歯ざわりや歯ごたえを楽しむ」

「表情を作る」

これら以外にも実は体の姿勢やバランスを保ったり、ものを噛むことで脳に刺激を与えるなど、健康的な生活をするうえで欠かせない役割を担っています。

歯を見ていただくと、それぞれ大きさ・形が違うのがお分かりいただけると思います。そしてそれぞれにしっかり役割分担があります。

歯は、たった1本失われても、正常な働きができません。例えば、大臼歯(奥歯)が1本なくなっただけで、ものをかみくだく能率は約40%も低下するといわれています。また、上の前歯が抜けるとサ行、奥歯が抜けるとハ行、ラ行が発音しにくくなって、言葉が不明瞭になったり、顔の輪郭が変わって、表情が老けて見えたりします。歯の欠損が多くなると、野菜や肉類等が食べにくくなるため、食物繊維やビタミン、鉄の摂取量が低下するとも言われています。

このように、健康な歯は、健康な体を支え、私たちに快適な暮らしをもたらします。

大人の歯は通常28本。「親知らず」と呼ばれる第3大臼歯4本を加えると32本になります。

これらの歯は、「切歯」「犬歯」「小臼歯」「大臼歯」の3種類に分けられます。



「切歯」「犬歯」」「小臼歯」「大臼歯」それぞれの役割についてお話していきます。

1.切歯(中切歯、側切歯)

上下左右8本あります。

顔の印象を左右する歯で、食べ物を適度な大きさに噛み切る役目があります。発音にも大きく関与しています。

2.犬歯

前から三番目の位置にある先がとがった歯です。食べ物を切り裂く役割があり、他の歯よりも根っこが長く強度があります。

縦方向の力には強いけれども左右に動かす力には弱い臼歯にその力が直接伝わらないように臼歯を守るといった大切な役割も担っています。

3.小臼歯

小臼歯は上下左右2本ずつの計8本あります。

小臼歯には下アゴが奥に下がらないようにするストッパーの役割や顎関節の機能を守り、噛み合わせを安定させる働きがあります。また、前歯でひと口大に噛み切った食べ物を奥に送る役目をしています。

4.大臼歯

大臼歯は上下左右2本ずつ計8本ですが、親知らずを含むと計12本になります。

小臼歯、大臼歯は食べ物をすり潰したり、噛み砕いたりする役割があります。その中で一番重要な役割を担っているのが第一大臼歯です。第一大臼歯は永久歯の中で一番大きく、噛む力が一番強く、噛み合わせの基本となる大切な歯です。

 

9本以上歯を無くなったままにしている人は転倒するリスクが高まる事も知られています。よろめいた時に、しっかり噛みしめられる人の方が短時間で元の姿勢に戻ることができることがわかってきています。

歯を失う主な原因は、むし歯歯周病です。毎日の適切なケアによって防ぐことができます。

日頃からのていねいなブラッシングや定期的な検診が重要です。大切な歯を守る為に是非、定期検診にご来院ください。


歯はどうやってはえてくるの?

歯はどのようにでき、はえてくるかご存じですか?

私達がお母さんのおなかの中にいる妊娠7週頃から歯胚(しはい)と呼ばれる乳歯の卵が、将来口になるべき部分にできはじめます。そしてこの卵が徐々に育っていき歯となります。また、妊娠3か月半頃になると大人の歯(永久歯)の卵となる歯胚の形成も始まります。

このように、赤ちゃんの歯の基礎づくりはお腹にいるときから始まっています。歯にはほとんど新陳代謝がないので一旦でき上がってしまうと、あとからいくら必要な栄養素を補っても歯は取り入れてくれません。赤ちゃんの歯を強くするためにも妊娠中は歯の石灰化を助けるミネラル成分、リンとカルシウムが多い食事をバランスよく摂ることが大切です。チーズや牛乳などの乳製品や、ひじきや小魚などの海産物などから上手に摂取していきましょう

妊娠4ヶ月くらいから、歯の頭になる「エナメル質」という部分が作られはじめます。歯の頭(歯冠)が完成されるのは、前歯で生後3ヶ月くらい、奥歯は生後6ヶ月から11ヶ月ぐらいです。「歯冠」が作られた後、「歯根」と呼ばれる歯の根の部分が徐々に作られていきます。

この根ができてくる過程にともない、歯のまわりの骨である歯槽骨なども作られ、そしてついに歯の頭が歯ぐきの表面を破って口の中に顔を出してきます。

最初の乳歯は、生後6か月から7か月にかけて下顎の中央から生えてきます。この歯は乳中切歯(A)と呼ばれ、少し遅れてその隣の乳側切歯(B)や、上の乳切歯(A,B)が生えてきます。1歳6ヶ月くらいになると奥歯の第1乳臼歯(D)が、また、2歳までには乳犬歯(C)が生え、最後に一番後ろの乳歯である第2乳臼歯(E)が2歳半から3歳頃にかけて生えてきます。乳歯20本がすべて生えそろうのは2歳半~3歳ぐらいになります。



乳歯の根の近くには永久歯の歯胚があり、乳歯の歯胚と同じように成長し、できあがった乳歯の歯根を溶かしながら身体の成長にともなって顎も成長し、生えてくることになります。6歳頃から12歳頃にかけて「乳歯」から「永久歯」へ生えかわります。



永久歯の歯冠部が完成し、歯の根の部分が作られ始めると、乳歯の根を溶かす細胞が現れ、永久歯の上にある乳歯の根は少しずつ溶かされていきます。乳歯の根が溶けていくと、乳歯はグラグラになり抜け落ち、永久歯が顔を出します。歯の根が完成するまでには、生えてから2~3年かかります。

生えはじめたばかりの歯は未完成で、やわらかく酸に溶けやすいため、むし歯になりやすいです。早い時期からフッ化物(フッ素)を取り入れて積極的にむし歯予防をしましょう。

ところで乳歯と永久歯の違いってご存じですか?

まず、歯の色に関していうと、乳歯は乳白色、永久歯は黄色味を帯びています。また、乳歯のエナメル質・象牙質の厚みは永久歯の半分程度と薄く、石灰化も永久歯に比べると不十分です。乳歯の歯の根は曲がっていたり、開いていたりするのですが、それは乳歯のうしろや下のほうに永久歯の卵(歯胚)が控えていて、それが生えてきやすいようになっているためです。

永久歯は乳歯の下で成長しています。いずれ永久歯に生え変わるからといって乳歯のむし歯を放置すると、その後に生えてくる永久歯の歯の質や歯並びに悪い影響を及ぼします

乳歯のむし歯もきちんと治療し、定期的に歯科医院を受診してお子様の年齢やお口の状況に合わせた適切な口腔ケアを行って正しいブラッシング方法や生活習慣を身につけましょう。